分譲マンション
分譲マンションはいわば建売住宅の共同住宅版です。
ただし、建売住宅が完成品を見てから購入するのに対し、分譲マンションの多くはカタログやモデルルームなどを見て完成前に契約します。
内覧会といって、完成した建物を実際に見るイベントが設けられますが、建売住宅と同様、見えない部分をチェックすることはできません。
分譲マンションの魅力は、建築規模が大きくスケールメリットが働くため、設計や施工にある程度の費用をかけ、エントランスや集会所などの共用部分を充実させることができる点です。
ここは、販売戦略の重要な部分ですから、販売する側は力を入れています。
緑にあふれ美しく保たれた豪華なエントランスを通り抜け、帰宅するのは気分の良いことです。
また多くは、エントランスから玄関まで完全にバリアフリー化されており、ベビーカーや車椅子での出入りがとても楽に行えます。
分譲マンションの共用部分には、上記のような魅力的な部分(駐車場、エントランス、エレベーター、集会所、屋上、庭や植え込み等)のほか、屋根や外壁、廊下、共用配管、そして構造躯体までも含まれます。
これらを長きにわたり共同で維持管理していく必要がありますから、マンション管理の質が重要になってきます。
管理のために必要な竣工図はもちろんのこと、各戸(専有部分)のリフォームやメンテナンスに備え各種詳細図や設備図などを保管し、日々発生する共用部分の補修工事や、大規模修繕を共同で行います。
日常的な業務は管理会社に委託したとしても、折々の意思決定は住民が主体となって行わなくてはなりません。
しかし、どんな場合も言えることですが、隣人となる人々を選ぶことはできません。
隣人たちは、管理組合の運営に積極的に参加してくれるのか、あるいは美化修繕に前向きに取り組んでくれるのか、不確定な要素ですが、長く住まう上では重要なことです。
あなたの財産である建物の一部を、価値観や考え方の異なる複数の人々と共有しなければならない点は、分譲マンションの永遠の課題だと言えるでしょう。