相見積り
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相見積りとは、「複数の相手から見積をとること」ですが、建築工事の相見積りにおいては、見積もりの条件が同じであることが重要です。

ある人が、延床面積100m2の木造平屋建て、同じ間取りでA社とB社に見積もりをお願いしたとします。
A社の屋根は瓦葺きで、外壁は塗壁、床は杉のフローリングでした。
B社の屋根は鋼板葺で外壁はサイディング、床は桧のフローリングでした。
見積金額はA社よりB社が200万円安かったので、B社に依頼することにしました。

しかし、これでは相見積りの意味がありません。建物の仕様が異なるからです。
また、間取りが同じというのは非常にざっくりとした話で、本来なら建物の構造や室内のデザイン等を示すための図面がなければ、見積の条件を同じにすることはできません。

一般に、設計事務所が作成する設計図には、建物の外観と平面計画だけでなく、基礎や構造部材、内外装の材料、設備機器の型番などが細かく書いてあります。
これらの図面を示して見積を依頼すれば、条件を同じにすることができ、施工者も実際に工事する際に準備する材料の数量や、大工さんの手間など、具体的な内容を記載することができます。

工事費に影響がありそうな項目で不確定な要素があった時、質問を投げかけてくれる施工者は図面を丁寧に見ているなと感じられますし、施工についても気配りができる場合が多いと思います。
しかし、丁寧な施工をし、腕の良い職人さんを使うとなれば当然費用もかかり、見積金額は高くなってしまうでしょう。
一方で、見積金額が安価であっても、項目や数量の記載がないとか一式となっていたり、あるいは重要なものが見落とされているといった見積書については、契約を急がずに施工者と再度打合せをした方が良いでしょう。

相見積りは、単なる価格競争の手段ではなく、適正価格を知り、施工者の仕事に対する考え方や、経験の深さを推し量る手段です。
競争入札と異なり、最安値を示した業者を指名するという決まりはありません。
金額が重要であることはもちろんですが、総合的な視点で判断する必要があります。